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転校生(1) [アーカイブ]

僕の父親は警察官だった。

警察官に限らず、公務員や大手の会社や銀行マンなどに
必ずついてまわるのは、引っ越しというものだろう。

前にも書いた気がするけれど、
小学校1年の終わりに、市内の別な街に引っ越したため
学区外となり、当然のごとく転校。

前に住んでいたのは街の中だったし
お寺も近かったので、遊ぶところを探す苦労はなかった。

移り住んだ街は、だだっぴろい野原がある場所で
警察学校の隣接地、いわゆる待機宿舎ってやつだ。

木造建ての同じような家が並んだ、警察官達がすむ場所だった。

家の周りを歩いていると剣道場があり「きぇーっ!」「チェストーッ!」
という奇声と、汗臭い男の人達が中に見えて圧倒された。

そうそう、漫画の「武蔵の剣」そっくりという感じ。^^

2年生になって、自転車を買ってもらった、警察学校のグラウンドの
片隅を自転車に補助輪をつけてグラウンド3周以上を走って
練習した。4か目には、補助輪は取った。
転ぶと痛いけど、耳元を風が切っていく自転車は最高だ!と思った。

その頃、父は一念発起というか、仕事を終えても、毎日朝4時
位までだったろうか?後でわかったのは昇格試験に挑んでいたということ。

翌年父は試験に受かり、東京の中野にある警察大学に入学となった。

僕が小学3年の1学期を終えたころである。

東京へたつ列車に乗る時に、その時の担任だった男の先生に
車中で読んでください。と渡された本は「トムソーヤの冒険」だった。
ありがとう、先生。と手を振って別れた。

東京の新宿区、百人町のほんとに部屋が1つと狭い台所スペース
それからトイレ、風呂なしという、母と男兄弟3人が住むには
結構きついところだったなぁ。とあとになって見に行ってもそう思った。

田舎から来た子、というレッテルを貼られるどころか
なんかクラスの元気な子が、僕の手を引っ張って
転校生だっ!わっしょい!わっしょい!と学校中を一緒に走り回った
のが、意外に嬉しかった。東京の子っておもしろいなー、が素直な気持ち^^

とにかく、どこへいこうが、すぐに意気投合する友達が出来てしまう。
そんなこと、別に意識したこともなくて、言葉がなまっていようが
一緒にいて楽しければそれでいいという感じ。

東京でも盛大に遊びまくった。
少年野球はもっぱら、ピッチャー役で、投げる球がやたら早いから
というのが理由だった。野球のルールもよくわからなったが楽しかった。

前の学校の意外な子(かわいいなって思っていた娘)から、封筒に
ぎっしりと思いを綴ったレターをもらったことがある。

ちょっと、ドキドキしながら、読んでみると、そこは小学生で、
わたしは元気ですが、元気ですか?
誰君が寂しいっていってるよ。

担任の先生はこういう人に変わりました
などという日常を書いたもの。

返事を必死に同じくらいの枚数を書いて、あ”-疲れた・・・
と思ってしまうのが、本音。

だって、元の場所に戻ろうにもどうしようもない・・・

別れた子達はいい人ばっかりだったけれど、
自分ではどうしようもないや!
って、達観しているしかなかったですね。

明日、何やって遊ぼうかな?位しか考えていないんだもの。

犬と同じようなものです(笑

ただ、東京の友達からは、すごくたくさんの刺激を受けたのは
前にも書いた、バイオリンを弾く友達、やはり経済的に恵まれて
いて、面白いおもちゃを持っている子は、人気ありました。

あと、当時凝ったのは、メンコ遊びと、なんだっけ?
学校の校庭の片隅を借りて、小さいバレーボールを使って、
やった「ニノ」って誰か覚えている人いないですか?.
うちの娘の好きな嵐の二宮君じゃなくてw

東京で初雪が降った日に、小さい雪だるまこしらえて、
公園で友達と、雪合戦をして戯れた。

寒いのに、半ズボンが平気だったのは何故だろう?

翌年の3月、父が無事に警察大学を卒業し
せっかくの友達たちとも、別れの日がやってきました。

今度行く土地は、なんと母親の生まれ育った街の近くとのこと
僕もその街の産科医院で生まれたのです。

東京で仲良くなった友達との別れは、相変わらず前の晩まで
降った雪の積もった日のことでした。
よく会う公園で待ち合わせをして、よし見送り代わりに雪合戦しよう!

ということに決まり、男女混合雪合戦で、わーわーきゃあきゃあ、と
とにかく大笑いなこと満載で、別れの寂しさなど微塵もなく

じゃあな!また、どこかで会えるさ!ばいばーい!
と手を振り合いながら、さよならを言いました。

母の生まれた地で、どうなる?
なんて、もうすぐ小学4年生なる自分に考える余地などなかった。
ただ、起きてくる物事を受け入れるしかなかったのです。

続く


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